2020年2月11日
2020年4月に行われる民法改正に対応して、賃金請求権の時効をどうするのかという議論が既に2年続いていますが、遂にゴールが見えてきました。
昨年12月24日に行われた第157回労働政策審議会労働条件分科会で、賃金等請求権の消滅時効の在り方についての公益委員見解が示され、各種報道によればこの内容で同意に至る見込みとされています。ポイントは以下のとおりです。
・ 賃金請求権の消滅時効期間は、5年とすべきである。ただし、当分の間、現行の労基法第109 条に規定する記録の保存期間に合わせて3年間の消滅時効期間とすべきである。
・ 年次有給休暇請求権、災害補償請求権など賃金請求権以外の請求権の消滅時効期間は2年間とすべきである。
・ 労働者名簿や賃金台帳等の記録の保存義務については、原則は5年としつつ、消滅時効期間と同様に、当分の間は3年とすべきである。
・ 施行期日は民法一部改正法による契約上の債権の取扱いを踏まえ、民法一部改正法の施行の日(令和2年4月1日)とすべきである。
このように今年4月にも法改正が行われ、当面の間、賃金請求権の時効は3年とされる方向となりそうです。改めて、不払い残業代等のリスクが高まることが予想されますので、適切な労働時間の把握・管理を行うと共に、賃金の不払いがないように注意が求められます。